一生モノの時計に出会うために。さくら鑑定のうんちく③
うんちく第3弾。
腕につけているだけで動き続ける機械式が今の主流です。
自動的にゼンマイが巻き上がるのです。
数日間、使用してなくて時計がとまってしまっても、
手巻式と同様にリューズを回してゼンマイを巻き上げればOKです。
現在の機械式の約90%がこの自動巻きで、
種類もたくさん発売されてます。
普通に毎日使っていれば自動的にゼンマイが回るので、
電池交換も必要なく、エコ時計なのです。
ただ難点をいえば手巻きよりもムーブメントの構造が複雑なので、
厚みがあることです。
消耗品も多いためメンテナンスは必須で、
費用も高くなることもちらほら。
ロレックスなどの人気モデルや高額モデルは、
この自動巻きがほとんど。
手巻きの機械式時計は、
毎朝リューズ巻きをしなくてはいけません。
ですので、よっぽどの時計の好きでないと不便に感じることでしょう。
リューズを巻き忘れると止まってしまいます。
利便性を追求すれば自動巻きの方が有利ですし、
クオーツ式の方が圧倒的に手間いらずです。
それでも手巻き時計が人気があるのは、
”リューズを巻くと動き出す”という便利とは
逆のシンプルなことが関係するのかもしれません。
ゼンマイをまかないと、針が停止してしまいます。
しかし、ひとたびリューズを巻いてやると時を刻み始める。
ゼンマイを巻くということは、命を吹き込むということなのです。
精度を安定させるには毎日、同じ時刻にゼンマイを巻くほうがいい。
朝、歯磨きをして顔を洗って、スーツを着てリューズを巻いて時計を腕につける。
といった日常の行動の一部にしてしまえばいいのでしょうか。
普通に考えたら、「そんなめんどくさい」と思うかもしれませんが、
手巻きの機械式時計を好む方は、そんな手間な作業も楽しんでいるのかもしれません。
ゼンマイをいっぱいに巻いた状態から時計が止まるまでの駆動時間を
パワーリザーブ時間と呼びます。
一般的に40時間台のモデルが多いです。
金曜日の夜に時計を外し、土日の休日は時計をしない人は、
月曜日の朝、時計は止まっているかもしれません。
そのような方には、パワーリザーブが60時間以上あるモデルをおすすめします。
自動巻きにしろ手巻きにしても、
ゼンマイが巻き上がって”カチカチ”と動き続ける鼓動にも似ているようなところが、
機械だけどなにか命が宿っているような感じをうけます。
ここがクオーツ式との決定的な違いではないでしょうか。
裏蓋がスケルトンになっているモデルもあるので機会があれば見てみてください。
無数の機械が、ゼンマイの動力によって一生懸命に動いている様子がわかります。
次回はクオーツ式について詳しくお話します。